東京藝術大学の受験漫画「ブルーピリオド」を読むメリット

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今話題の「ブルーピリオド」という漫画をご存知でしょうか?2020年にはマンガ大賞を受賞。2021年の春にはアニメ化も決まり、注目度の高い漫画です。

同時に、美大ではないですが、大学受験を経験をした一人の大人として、今後受験をするだろう子どもの親としても興味深い漫画のため、「ブルーピリオドを読むメリット」という観点で、記事にしてみました。

※なお本ブログでは、ブログで使える「ブルーピリオド」のコマを用いて記事を書いています。

漫画「ブルーピリオド」とは?

世渡り上手な努力型ヤンキーが絵を描く悦びに目覚める!絵を描かない人にも刺さる熱くて泣ける美大受験物語!

成績優秀かつスクールカースト上位の充実した毎日を送りつつ、どこか空虚な焦燥感を感じて生きる高校生・矢口八虎(やぐち やとら)は、ある日、一枚の絵に心奪われる。
その衝撃は八虎を駆り立て、美しくも厳しい美術の世界へ身を投じていく。

美術のノウハウうんちく満載、美大を目指して青春を燃やすスポコン受験物語、八虎と仲間たちの戦いが始まる! ー講談社・月刊アフタヌーンの紹介コメント

2021年現在は「美大受験」のみを取り扱っている漫画ではなくなっていますが、少なくとも第6巻までは、「美大受験をテーマにした漫画」というくくりで良いかと思います。

あらすじは以下の通りとなります。

友人たちと朝まで遊んだりして、楽しい高校生活を過ごしている2年生の矢口八虎。それでいて学校では成績優秀。

何事もそつなくこなせるからこそ、生きる目標を定められなかった彼が、偶然見出したのが美術の世界でした。上級生が描いた1枚の絵をきっかけに絵を描くようになり、やがて、最難関の東京藝大油画科入学を目指して、本格的に勉強を始めていきます。


学校の美術部から、美大受験の予備校へと通い始めた彼が、個性溢れる受験生たちと出会い、触発されながらも前へ進んでいくストーリー

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タイトルの「ブルー ピリオド」の由来

タイトルの「ブルーピリオド」は、画家パブロ・ピカソに由来する言葉です。

ピカソが19歳の時に、親友のカスマヘスが自殺したことにショックを受け、そのことが彼の作品に表現されていきます。

「青の時代」を代表するピカソの自画像

「青の時代」と言われる期間は1901~1904年という短い期間でしたが、多くの人に影響を与えました。主に青色を主体とした作品を描き、盲人や娼婦、乞食などの社会の底辺にいる弱者を題材とする作品を描き続けました。

もともとは、ピカソが青春時代に描いた絵の画風を指し、そこから転じて不安を抱える青春時代を表す言葉となり、主人公の谷口八虎の「美大受験」を通じた不安や葛藤と重ね合わせたタイトルとなっています。

第1巻の冒頭のシーンですが、こちらのコマがあえて青い背景なのも、ピカソの青の時代を意識してのコマ割りなのでしょうか?

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東京藝術大学に入る難しさ

誰もが名前だけは知っている東京藝術大学。

しかし、関わりのない一般人からしてみれば、その実態は、こちらの漫画が出版されるまでは想像もつかなかったように思います。

ブルーピリオドの作者の山口つばさ先生は、芸大出身の漫画家。

山口つばさ先生のプロフィール

東京都出身。東京藝術大学絵画科油画専攻卒業後、アフタヌーン四季賞2014年夏のコンテストで佳作受賞。

2016年に新海誠監督の作品『彼女と彼女の猫』のコミカライズでデビュー。2017年6月から「月刊アフタヌーン」で『ブルーピリオド』を連載中。 [ブルーピリオド] 「この漫画がすごい2019オトコ編」で4位、また「マンガ大賞2019」3位に引き続き、「マンガ大賞2020」で大賞を受賞。

美大受験のリアルを知っているため、わかりやすい美大受験事情の説明があり、回が進むにつれ漫画を読む中で主人公や脇役の高校生や浪人生たちに感情移入しやすくなっていきます。

なお、藝大の油画科については、現役高校生が受かる倍率はなんと60倍! 「二浪四浪は当たり前の世界」なんですね。

そう。ある意味「東大より難しい大学」と言えてしますのです。

マンガ大賞2020

マンガ大賞は「マンガをもっと読んで欲しい」と、マンガ好きの書店員とニッポン放送の吉田尚記アナウンサーが中心となり、「本屋大賞」を参考にして立ち上げたイベントです。

2008年に第1回の発表があって、石塚真一の『岳 みんなの山』が受賞し、以後、末次由紀『ちはやふる』、ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』、吉田秋生『海街diary』といった作品が受賞していますが、錚々たる人気作品が並んでいますね。

2019年はWEB連載だった篠原健太氏『彼方のアストラ』が受賞し話題になりましたが、マンガ大賞2015では、同じように美大受験を目指す女子が主人公となった東村アキコ氏『かくかくしかじか』が受賞しています。

こちらのイベントで2020年に大賞を受賞したのが「ブルーピリオド」になります。

こちらの受賞で、2021年のアニメ化に弾みがついたことは、言うまでもありませんね。

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山口つばさ先生のインタビュー記事 2選

「ブルーピリオド」を深く掘り下げるために、山口先生のインタビュー記事を2本紹介します。2019年頃の記事ですが、二つの記事で山口先生のことをよく知れるように思います。

東京藝術大学(院)生のインタビュー記事(2019年)

まずは、藝大のサイトの記事です。

藝大出身の著名人に現役の学生が質問をぶつけ、その対話の中から芸術と教育の接続点について探る。本連載、「藝大人たち」は、そんな目的を持った対談インタビューだ。第五回は、現在、「月刊アフタヌーン」にて連載中の漫画『ブルーピリオド』の作者である山口つばささんに、美術学部油画専攻修士1年の杖谷美彩さんと学部3年の田口裕理阿さんがインタビューを行った。 ※山口さんは顔出しNGのためカエルのマスクを被っています。

https://www.geidai.ac.jp/container/column/geidaibito_005

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画家の中島健太との対談記事(2019年)

こちらの記事からは、藝大出身の美術家で食べていくのは本当に難しい様子が伝わってきます。

9巻以降の展開につながるような画家についての対談もありました。

「美大は“絵で食べる方法”を教えてくれない」 漫画『ブルーピリオド』作者と完売画家が考える“美術で生きる術”

YOASOBIの「群青」とブルーピリオドの関係性

2020年に音楽界を席巻したYOASOBI。

ボーカロイドプロデューサーのAyaseとシンガーソングライターのikura(幾田りら)による2人組の音楽ユニットで、2019年秋にリリースした1stシングルの「夜に駆ける」は、2021年に2億回再生を超えることが確実です。

このYOASOBIが2020年に5thシングルとしてリリースしたのが「群青」という曲です。

こちらの曲は、ブルボンのアルフォートのCMストーリーテキスト、「青を味方に。」を原作として作詞作曲されたもので、ブルーピリオドとのコラボとなっています。

人気音楽YouTubeチャンネルのTHE FIRST TAKEでは、2021年2月26日に公開されるやいなや、1週間で1000万回再生を超える勢いで、他のTHE FIRST TAKEの曲よりも圧倒的な再生スピードを誇っています。

YOASOBIの新曲“群青”が本日9月1日に配信リリースされた。

なお、ジャケットデザインを手掛けたのは、『ブルーピリオド』の舞台のひとつでもある東京藝術大学に在学する「藍にいな」さんです。

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ブルーピリオドのアニメ化

そして、とうとう2021年にテレビアニメ化も決定しました。どの局で、どの時間帯で放送されるのでしょうか?今から楽しみです。

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「ブルーピリオド」を親世代が読むメリット

漫画なので、気楽に読めば良いと、個人的にも思っていますが、せっかく記事にしているので「メリット」という観点から書きたいと思います。

メリットを書く前に、作品のなんとなくの雰囲気を知りたい方は、下記の動画を見ると物語の雰囲気が伝わるかもしれません。

現実的な想像力がつきやすい

受験漫画と言えば、大学受験をテーマにした「ドラゴン桜」や最近では中学受験をテーマにした「二月の勝者」が有名だと思います。

「ブルーピリオド」は、「美大受験」がテーマですが、「受験に合格するテクニックや考え方」という側面だけではなく、「高校生になっての葛藤・努力」などがストレートに伝わって、私たち親の世代にとっても目指すものが違っても「子の苦悩」についての想像がつきやすいと思います。

「親として価値観の多様性を養える」「そのための想像力がつく」というメリットがあるように思います。

読むだけで、ちょっとだけお子様に優しくなれるかもしれません。

知的好奇心が満たされる

そもそも馴染みのない「美大受験」に対する理解が深まり、単純に「知らない業界を知ることができる」という意味での知的好奇心が満たされます。

親子の会話のきっかけになるかも

もし年頃のお子様がいるご家庭の場合、こちらの漫画を親子ともに読んでいるのであれば、共通の話題になるようにも思います。

直接的な受験勉強の話で説教っぽくならずに話が進むきっかけになるかもしれません。

さいごに

2021年2月時点で単行本の累計発行部数は300万部を突破している「ブルーピリオド」。その人気は留まるところを知りません。

今回のアニメ化をきっかけに、ぜひ読んでみていただければと思います!

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