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どのような絵の評価が高いのか?
「子どもの絵は何を語るか-発達科学の視点から(NHKブックス)」の中で、こどもの展覧会でどのような絵の評価が高いのかについての記載があります。
- 感動や驚きが絵の中に描かれていて、生き生きとして新鮮で、生命感が躍動してる絵
- イメージが豊かで、自分の考えたことや思ったことが絵の中にあり、絵の内容が豊かで高まるのある絵
- 色や形や構図、あるいは絵の内容に、工夫したり格闘したり創造したものがある絵
- 人や花や家などが概念化というかパターン化していないで、人には動作や特徴があり、花や家などの形に変化がある絵
- 絵の発想の仕方や絵の表現や中身に、その子なりの思いや工夫がある個性のある絵
- 心をこめて、集中し、全力を出した、その子なりのこだわりのある絵
- 絵の表現するは年齢によって異なるので、その発達年齢の先をいく絵が良いのでなく、その年齢として、いかに工夫し豊かに書いているのかがわかる絵
いわゆる「漫画のような絵が上手」な子の絵は、マンネリ化して概念的になっており、あまり評価されないようです。
また、例えば2学年くらい上のような絵を描いたときにも、入選までは進んでも特選などには推奨されなかったりするケースがあるようです。
「大人びた絵」が評価されることで、どんどん絵の内容がエスカレートするのを防ぎ、あくまでも該当学年らしい発想や内容の豊かな作品を評価するように留意されています。
それでは、実際にどのような作品が受賞しているのか、具体的に見ていきましょう。
第19回 ドコモ未来ミュージアム(2020年12月発表)
2020年の未就学児の受賞作品は以下のページから確認できます。
こちらでは未就学児の入選作品の33作品が紹介されていますが、とにかく色鮮やかで、細かく丁寧な作品が受賞している印象です。
また、受賞作品の検索条件で、「どうぶつ」「しょくぶつ」「さかな」「そら 」「ひと」「うみ」「もり」「うちゅう」と8分類されており、基本的にはこの8つの大きなテーマをもとにコンクールに応募していることが多いことがわかります。
2020年の受賞作品の総評は、以下の動画でも紹介をされています。
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第39回 全国児童画コンクール(2020年11月発表)
全国から430,064作品の応募があり、31作品が上位入選しています。
こちらのコンクールでは、他のコンクール以上に、「年齢相応」の作品が選ばれる傾向が強くあると感じます。
他のコンクールでは、画用紙の白い部分を絵の具やクレヨンで埋めているような作品が上位入選しているのに対して、全国児童画コンクールは画用紙に塗られていない余白があっても、絵自体からストーリーやメッセージ性が伝わっていれば、そこの部分が評価されている作品が多いように感じました。
第32回 全国児童 水辺の風景画コンテスト(2020年11月発表)
応募総数6,556点の中か23点の入賞作品が選ばれ、未就学児の作品も6点が入選しています。
特に、最優秀賞の作品は、首がしっかりと描けていたりと3歳の年少の子の発達の割には早い絵のタッチですが、生き生きと描かれている作品のため選ばれているようです。
こちらの作品は、「かわいらしく、素直な表現の作品です。かえるの緑と子どもの赤い服の色合いが強いコントラスト(対照)の表現で、目をひく作風になっています。」という総評になっています。
第12回 中村キース・ヘリング美術館 国際児童絵画コンクール(2020年10月発表)
2020年は未就学児以外も合わせて世界各国より1,223点の応募があり、30点が入賞いたしました。
部門1が4歳から8歳ということで、「幼児+小学校低学年」という区分ですが、この部門では10名の入賞者がいます。そのうち日本人の入賞者は2名。
おそらく、山梨県知事賞の作品は未就学児による受賞かと思います。
受賞作品は、もちろん素晴らしいですが、このコンクールの素晴らしさは授賞式後のワークショップにあると思います。
年齢の異なる受賞者が一緒になって作品を作る。ここで更なるインスピレーションを受けることで、子どもたちにとっては素晴らしい体験になると思います。
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第8回 みつばちの一枚画コンクール(2020年9月発表)
受賞作品は以下のページから確認することができます。
全国や海外から16,550点の応募があり、66点の入賞作品となってようです(未就学児以外を含む)。国内部門の幼児部門では、大賞1点、優秀賞1点、入選2点、佳作6点の10点が入賞作品になっています。
「みつばち」がテーマですが、みつばちの数が多く、背景が明るく細かく描写されている絵の入賞が多いように感じました。
さいごに
今回の記事では、絵画コンクールに受賞するための審査員側の立場の記述を紹介した上で、直近のコンクールの受賞作品の傾向をまとめてみました。
絵画コンクールの入賞作品を見ると、かなりの時間と手間をかけたのではないか?という作品も数多くみられます。
その中に、子どもならではの発想だったり、大人がびっくりするような構成であったりしつつ、絵を見るだけで元気になれるような作品が多いような気がします。
絵画の目的が「入賞」になるのは違うとは思いますが、このようなコンクールを通じて、子どもに「絵を描くことが楽しい」と思ってもらえると嬉しいですね!
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せっかく絵画コンクールに出品するのであれば、入賞を目指して頑張りたいものです。未就学児だって、表彰されれば嬉しいですし、その成功体験はかけがえのないものになるでしょう。私自身も、小さい頃に絵画コンクールに入賞したことがありますが、自己肯定感が上がる良いきっかけになりました。
もちろん、過度な「結果主義」は教育的な歪みを生みますが、コンクールをうまく利用することで、絵がますます好きになるきっかけづくりにはなると思います。今回は、この絵画コンクールに入賞するための受賞作品の傾向を知ることで、「どうすれば入賞作品に近づけるのか?」について考察した記事を書きたいと思います。