【63名】日比谷高校の2021年の東大合格者増加の特徴を分析する

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2021年の東大の入学試験で最も話題になったトピックが、「日比谷高校の東大合格者63名」という速報です。現役の合格者が48名だったという好成績に加えて、京大の合格者も10名(現役は5名)の合格者という結果でした。

2021年の日比谷高校における東大と京大の合格実績

改めて、2021年の東大と京大の科類・学部ごとの合格人数をまとめます。

2021年の卒業生の309名のうち現役53名(17.2%)が東大または京大に合格されています。

東京大学

文I文II文III理I理II理III推薦合計
7(6)7(5)18(14)19(16)9(4)1(1)2(2)
法学部
文学部
63(48)
カッコ内数字は、現役合格者の人数

京都大学

総合人間教育医学健康科学合計
1(1)-(-)-(-)-(-)3(1)-(-)-(-)
   10(5)
1(1)1(1)-(-)4(1)
カッコ内数字は、現役合格者の人数

また、一橋大学も19名のうち現役は16名、東工大も11名のうち現役は9名と、東京一工の現役合格者は78名(卒業生の25.2%)に登りました。

国公立の医学部にも16名ほど合格しており、高校内順位で上位100番以内であれば、最難関の国公立大学の合格を本気で目指せるようになっているようです。

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2021年の日比谷高校の東大合格者の特徴を考察する

下記はあくまでも推測ですので、「こんな考察もあるんだ」くらいにお読みいただければと思います。

学芸付属高との「国公立高校の盟主の座」の交代

下記の通り、過去15年間の日比谷高校と学芸大付高の東大合格者数は、2校を足すと合計100名前後で推移しています。これを当ブログでは、日比谷、学芸「100名の法則」と名付けます。

 日比谷高と学芸大付高の過去15年間の東大合格者数の推移

2000年代までは学芸大付高が70名以上の合格者を出していましたが、2016年頃からほぼ互角に。そして、2016年の学芸大付高のいじめ問題を境に、明らかに都内のトップ層が日比谷高校を目指す流れが加速したようです。

女子優秀層の飛躍(文Ⅲの合格者の割合の多さ)

2021年の日比谷高校の東大合格者は、文Ⅲの合格者の比率が高かったです。他の学部に比べて、文Ⅲは女子比率が高いことから推測すると、女子の優秀層が東大受験において活躍した可能性が推測されます。

また、2021年入試の東大の数学が易化したことが、もしかしたら一部の日比谷高校の生徒にとって有利に働いた可能性はあるかもしれません。

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英語・国語が強い生徒が多い

日比谷高校は、2019年からZ会・駿台共催の「高2アドバンスト」という模試を活用し始めたようです。こちらの模試は、中高一貫進学校を母集団として実施されているものでしたが、2019年の模試では、公立高校としては日比谷が全国唯一の参加校だったようです。

その結果、

英語⇒成績は全国トップ。しかも一定の差をつけている。
国語⇒全国トップレベル。
数学⇒十分に渡り合えている。
理科⇒やや出遅れている。
社会⇒ややリードがある。

とのことで、「高校2年生の11月の時点で、英語と国語の優秀な生徒が多かった」ということが推測されます。

同時に、この模試と日比谷生の特徴を分析した結果、「早めから理社に取り組む」という指針で、大学受験対策を学校単位で実施したことが好結果に結びついた可能性があります。

つまり、高2の11月の時点では、他の中高一貫進学校と比較して英国2教科は他をリード、数学は中間に位置し、理科はやや出遅れ、社会が少しリード、ということになる。
しかし一方で、この9か月後に行われている任意模試の「東大オープン(河合)」や「東大
実戦(駿台)」では、理社科目の差が大きく開いてしまう。
このことから見えてくることは、みなさんの進路実現を果たすためには「高2秋の時点の理社科目の状況を直視する」ということです。具体的には1年生から、見通しをもって理社科目に取り組むこと、そして2年生の理社科からの「早期の学習指針(進路通信第4号参照)」をに沿って、具体的な学習を始めていく、ということです。2年生までに英数国の基礎力完成を目指しながら、理社科目への目くばせを絶えず行う

日比谷高校 進路通信第5号 2019年12月25日

数学・物理の上位層が少なそう

一方で、理3(1名)や9慶應医学部(0名)の合格者が少ないことから、私立の中高一貫校と比べると、医学部志向が低く、同時に数学や物理などの科目で荒稼ぎをする理系の上位層タイプは少ない可能性があります。

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今後も日比谷高校の東大合格者増の流れは続くか?

都内の中学No.1層が「日比谷高校を目指す」という流れはしばらく続くと思われるため、合格者の上下動はあるものの、しばらく東大の合格者が50名を超える年が増えることが予想されます。

例えば、2021年入試でも一橋大学の合格者が19名いましたが、学校全体の東大志向が強まると、日比谷高校内で東大の受験者数がますます増える可能性があります。

浪人生が少ないこともあり、2022年入試は、一時的に東大の合格者が減る可能性もありますが、2025年前後には80名以上の東大合格者をコンスタントに出すようになるかもしれません。

進路通信を読んでいると、放任ではなく進路指導に熱心な様子が伝わります。

一方、私立の中高一貫の最難関校(筑駒・開成・桜蔭)に比べると、理Ⅲや慶應医学部、東京医科歯科大学に合格する生徒さんが少ないため、医学部志向は低く、同時に理系で高得点で合格される生徒が、まだ少ない可能性があります。

桜蔭高校は、高校受験のない女子校ですが、文系・理系の合格者のバランスが取れており、理Ⅲの合格者も現役で8名も合格しています。

桜蔭高校の東大合格者(2021)

文I文II文III理I理II理III推薦合計
15(14)3(2)10(7)18(17)16(12)8(8)1(1)
工学部
71(61)
カッコ内数字は、現役合格者の人数、卒業生229名

巷では、「公立高校の躍進」という言葉が踊っていますが、文系だけではなく理系分野でも、私立の難関校に太刀打ちできるのか、今後の日比谷高校の課題になってくるように思います。

前述した学芸大付高は、2000年を迎える前は、100名前後の東大合格者を出していました。潮目が変わった今、日比谷高校が100名を超える東大合格者数を出すことも、夢物語ではなくなってきました。

ただし、海外大学なども含めて、現在の生徒の進路は多様性を増しています。「学歴の価値」というもの自体が変化してきているので、「東大100名越え」というのはなかなか高いハードルがありそうです。

一方で、ますます人気が高まるであろう日比谷高校の卒業生は、今後様々な場面で活躍されることが期待できます。

前述した「医学部志向が低い」という特徴は、「医学の世界以外で活躍する日比谷出身の方が増える」ということと同義でもありますので、今後の卒業生の活躍が楽しみです。

最後に、日比谷高校のwebページの「進路指導について」の項目を紹介いたします。

効率よく大学に進学させていくことだけが進路指導の目的ではない。生徒諸君が自分の興味関心をさらに深めていくにはどのような道が考えられるのかを調べていくこと、できれば将来の職業の選択を見据えて自分の生き方を決定していくこと、このような重要な内容を調査・研究していくために必要な資料の提供や、助言をしたいと考えている。その上で、どのような大学に進学することで自分の夢を実現することができるのか、そのためにはどのような学習が必要であるのかなどについて、学年集会・面談などを通して助言を行っている。

http://www.hibiya-h.metro.tokyo.jp/CareerApproach/aboutCareerApproach.html

職業の選択については、高校生時代に一度考えておくことで、大学生活が実りあるものになることは間違いないかと思います。

私自身、大学受験をゲーム感覚で目指して、合格してからの大学の4年間は目指すものがないまま、過ごしてしまいまい、その後に就職活動が始まるまで、自分自身が社会でどのような活動をしていけば良いのか見失ってしまいました。

その後、外資系金融という世界に入り、今もその職を続けていますが、「高校時代にもう少し将来について考えながら勉強すれば良かった」と思っています。

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